労働者派遣法「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」について

【派遣労働者を活用するにあたって】

人材不足により、派遣労働者の活用を検討されている事業所様も多いかと思います。

派遣労働者は、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わり派遣労働者の所得が不安定にな

ることが想定されたり、キャリアアップ等の面で不整合な事態を招くこともあり得ます。

少し前の話になりますが、令和2年4月に改正された労働者派遣法についての改正の一つである『「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」』について詳しくお話させていただければと思います。

どうぞ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

【待遇決定方式】「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」について

派遣元は、原則、派遣先均等・均衡方式によって派遣労働者の待遇を確保しなければなりません。しかしながら、派遣元は派遣労働者の待遇について法定の5項目を定めた労使協定を締結した場合においては、派遣先均等・均衡方式は適用されません。

 

派遣先均等・均衡方式

派遣先の通常労働者との均衡・均等待遇

派遣先が提供する情報

比較対象労働者の待遇等に関する情報

比較対象労働者の選定基準(労働者派遣法施行規則24条の5)
  1. 「職務の内容」と「職務の内容及び配置変更の範囲」が同じ通常の労働者
  2. 「職務の内容」が同じ通常の労働者
  3. 「業務の内容」又は「責任の程度」が同じ通常の労働者
  4. 「職務の内容及び配置の変更の範囲」が同じ通常の労働者
  5.  ①~④に相当するパート・有期雇用労働者
  6.  派遣労働者と同一の職務に従事させるために新たに通常の労働者を雇い入れたと仮定した場合における当該労働者

 

労働者派遣契約の締結時に派遣先は、派遣元へ、派遣労働者の従事する業務ごとに、比較対象労働者の待遇に関する情報を提供する義務を負わせています。(派遣法26条7項)

労使協定方式

一定の要件を満たす労使協定による待遇

労使協定に定めるべき5項目(30条の4第1項1号~6号)
  1. 派遣労働者の範囲
  2. 賃金の決定方法
  3. 公正な評価による当てはめ
  4. 賃金以外の待遇の内容
  5. 教育訓練

派遣先が提供する情報

派遣元は、労使協定を締結し、派遣労働者の待遇について次の5項目を定めた場合、 派遣先の通常の労働者との均等・均衡を確保する必要はありません(労働者派遣法30条の4)。

 

まとめ

派遣労働者労働者の賃金等の不合理な待遇・差別取扱いは、同一労働同一賃金に反することとなります。また派遣先から派遣元への比較対象労働者の待遇に関する情報提供義務であったり、派遣元から派遣先への通知義務、派遣元管理台帳・派遣先管理台帳への記載義務についても気を付けなければならない点が多く存在します。

派遣元事業主の方におかれましては、労働者派遣法の改定等の情報には今後も注意を払う必要がありそうです。

 

社会保険労務士法人きんかでは派遣元事業主の方に対しても労務相談を承っております。管理台帳の作成、記載について。また派遣労働者の有休管理や労務相談についても随時承っておりますので、何かお困りなことがございましたらいつでもお問い合わせください。

 

また質問に答えていくだけでどの助成金が対象となるのかがわかる助成金診断ツールや現在使用中の就業規則が法に則っているのかを確認できるツールをご用意しておりますので、もしよければご活用ください。なお、助成金診断ツールにつきましては弊社より後日ご連絡をさせていただく場合があります。予めご了承ください。

助成金診断ツール就業規則診断ツール就業規則労務リスク判断ツール

 

 

 

 

 

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