フレックスタイム制の実務対応について

フレックスタイム制導入に当たっては労使協定の集結が必要です。さらに、清算期間が1ヶ月を超える場合には、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。

今日はフレックスタイム制を導入するにあたって必要なポイントを4つにまとめてお伝えさせていただきます。

 

労使協定の集結に当たって注意すべきポイント

フレックスタイム制を導入するに当たっては、以下の事項を労使協定で定める必要があります。
① 対象となる労働者の範囲
② 清算期間
③ 清算期間における総労働時間(清算時間における所定労働時間)
④ 標準となる1日の労働時間
⑤ コアタイム(※任意)
⑥ フレキシブルタイム(※任意)
ここではこれらの事項について労使協定の終結に当たり注意すべきポイントを確認します。

 

ポイント① 対象となる労働者の範囲

対象となる労働者の範囲は、各人ごと、課ごと、グループごと等様々な範囲が考えられます。
例えば「全従業員」、「企画部職員」としたり、「Aさん、Bさん、…」とすることもできます。労使で十分話し合い、協定で対象となる労働者の範囲を明確にしましょう。

 

ポイント② 清算期間

清算期間とは、フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間のことです。これまでは上限が1ヶ月でしたが、法改正によって上限が3ヶ月となりました。
清算期間を定めるに当たっては、その長さに加えて、清算期間の起算日を定めましょう。

法改正で清算期間の上限が最大3ヶ月に延長されましたが、月ごとの繁閑差などの実態を踏まえ、対象者の範囲や清算期間を労使でよく話し合うことが重要です。
また、清算期間が1ヶ月を超える場合でも、使用者は1ヶ月ごとに実際に働いた労働時間を労働者に通知するなどの対応に努めてください。

 

ポイント③ 清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)

清算期間における総労働時間とは、労働契約上、労働者が清算期間において労働すべき時間として定められた時間であり、所定労働時間のことです。フレックスタイム制では、清算期間を単位として所定労働時間を定めることとなります。
清算期間における総労働時間を定めるに当たっては、以下のとおり法定労働時間の総枠の範囲内としなければなりません。

※特例措置対象事業場については、清算期間が1ヶ月以内の場合には週平均44時間までとすることが可能ですが、清算期間が1ヶ月を超える場合には、特例措置対象事業場であっても、週平均40時間を超えて労働させる場合には36協定の終結と届出と、割増賃金の支払いが必要です。

 

例えば月単位の清算期間とした場合の法定労働時間の総枠は、以下の法定労働時間の総枠の範囲内で総労働時間を定めなければなりません。

なお労使協定では、1ヶ月160時間というように各清算期間を通じて一律の時間を定める方法のほじゃ、清算期間における所定労働日を定め、所定労働日1日当たり○時間といった定め方をすることもできます。

 

ポイント④ 標準となる1日の労働時間

標準となる1日の労働時間とは、年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金の算定基礎となる労働時間の長さを定めるものです。清算期間における総労働時間を、期間中の所定労働時間で割った時間を基準として定めます。
フレックスタイム制の対象労働者が年次有給休暇を1日取得した場合には、その日については、標準となる1日の労働時間を労働したものとして取り扱う必要があります。

 

 

さて今回はフレックスタイム制を導入するにあたって必要なポイントをまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

 

コアタイム・フレキシブルタイムついては任意のものとなりますので今回は割愛させていただきます。上記2点については、また詳しく別記事にてお伝えさせていただければと思います。

 

多様化が進むなかで、どんな働き方をするかを選べる時代になってまいりました。新型コロナウイルスによって様々な影響がありましたが、労働者だけでなく使用者にとっても労働環境を見直す良いきっかけにもなったのではないでしょうか?

 

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