
「助成金」と一口に言っても厚生労働省の助成金、地方自治体の助成金、民間会社の助成金など、世の中には様々な種類の助成金があります。その中でも、私たち社会保険労務士が申請代行することのできる助成金は、厚生労働省の助成金です。ここでは厚生労働省の助成金についてご説明します。
厚生労働省の助成金(以下「助成金」という。)は、返済不要の一種の資金調達手段です。事業主が、雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などといった取組をし、一定の要件を満たした場合に申請をすることで、事業主に助成金が支給されるものです。ここで重要なポイントは、多くの助成金は、申請をしなければ支給されないということです。つまり、事業主が助成金制度を知らず、支給対象となる取組を実施した、または、実施しようと考えているとしても、事業主に対して、親切に支給対象となることの通知があるわけではありません。どのような取組が支給対象となるかを知らなければ、そもそも助成金が支給されることの余地はないということです。

助成金を語る上でよく引き合いに出されるものが補助金です。助成金と補助金はどちらも国から支給されるお金には間違いがないのでよく混同されがちですが、厳密には使い分けがされています。
| 助成金 | 補助金 | |
| 所管 | 厚生労働省 | 経済産業省 |
| 財源 | 雇用保険料 | 税金 |
| 審査 | 形式主義 | 内容主義 |
| 目的 | 求職者の低減 職場環境の向上 |
有望分野・国策分野への誘導 経済波及効果の創出 |
助成金は、厚生労働省の管轄で求職者の低減や職場環境の向上がその目的で実施されており、その財源は雇用保険料となっています。事業主が負担する雇用保険料は、労働者負担よりも多く、その多く負担している分の雇用保険料が助成金の予算になっています。助成金申請の要件の一つでもある、「雇用保険の適用事業所であること」もそのためです。
また、助成金の審査は形式主義であり、助成金の支給要件をすべて満たせば100%支給されます。これが補助金との大きな違いかもしれません。
補助金は、経済産業省の管轄で有望分野・国策分野への誘導や経済波及効果の創出が目的で実施されており、その財源は税金となっています。
また、助成金とは違い、補助金の審査は内容主義であり、取組の内容次第では不支給となります。個々の補助金によっても違いますが、実際に補助金を申請した場合の採択率は、およそ40%~70%というデータが出ています。
contents
はじめに:被災した社員への備えが、企業の信頼を守る 業務中や通勤中の事故・疾病で従業員が働けなくなるリスクは、どの企業においても無視できません。事業主・人事労務担当者として、被災社員をできるだけ支える…
2025/12/01
コラム
はじめに:労災を“自分ごと”にする理由 「労災」は従業員にとって生命や身体に直接関わる問題です。そして企業にとっては、安全管理義務や補償リスク、信頼維持という意味で避けて通れない課題です。 労災制度は…
2025/11/24
コラム
「ちょっと今月は忙しいから、残業お願いね」――そんな日常的な一言も、実は法律的にはグレーゾーンになりかねません。 労働基準法では、原則として1日8時間・週40時間を超える労働はさせてはいけないと定めら…
2025/11/17
コラム
せっかく時間とコストをかけて採用活動を進め、ようやく入社日を迎えた――。 ところが前日になって「やっぱり辞退させてください」と連絡が入ったり、入社したと思ったら数日で「もう辞めます」と退職の意思が示さ…
2025/11/10
コラム
出勤時にガチャンと打刻し、退勤時にもう一度。 タイムカードは、長らく勤怠管理の“象徴”でした。ですが近年は、ICカードやクラウド打刻、スマホアプリなど、管理方法が大きく変わっています。 「うちは小規模…
2025/11/03
コラム
働き方の自由度は高いが“魔法の制度”ではない 「裁量労働制を導入すれば、残業代を気にせず働かせられる」――そんな誤解を耳にすることがあります。 しかし、これは大きな間違い。裁量労働制はあくまで『一定の…
2025/10/31
コラム
Contact
ご質問やご相談などお気軽にご連絡ください。