就業規則の周知について

就業規則を読んだことがない、という従業員は往々にして存在することを事業主の皆様はご存じでしょうか?

事業主には就業規則を、労基署へ届けるだけでなく、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は、備え付けること、書面を交付すること、又はコンピュータを使用した方法によって、労働者に周知させなければなりません(労基法106条1項、労基則52条の2)。

事業主の方の中には就業規則の周知義務があるにも関わらず、一般の従業員が閲覧できるように整備されていない方もいるのではないでしょうか。

また周知義務を履行していなかった事業主の方に対して30万円以下の罰金に処せられることはご存じでしょうか?(労基法120条1号)

今日は就業規則の周知について、また就業規則に転勤についての規程があるにも関わらず就業規則を見たことがないといって拒否されてしまった場合についてお話させていただければと思います。

 

就業規則を見たことがない従業員に対しての転勤命令は有効か

就業規則上には記載のある転勤規定。その規定を見たことがないという従業員が転勤を拒否した場合には一体どのように取り扱われるのでしょうか。

「従業員に周知されていない就業規則」は裁判所で無効と判断されることがあります。

雇用契約書に転勤命令権に関する記載がなく、就業規則のみに規定がある場合になりますが、就業規則の周知が十分になされていないときは、転勤命令権が認められない恐れがあります。

 

就業規則に転勤についての記載があったとしても、従業員全体数のうち就業規則を見たことがない、という割合が高くなればなるほど、転勤命令権を認められにくくなってしまいます。

 

このような事態を防ぐためにも、仮に就業規則をいつでも閲覧できるように整備していたとしても雇用契約書等に転勤についての記載をしておいた方が良いでしょう。

 

備付け場所についての周知も必要

就業規則を誰でも閲覧できるようにすれば万事解決、とまではいきません。

その就業規則がどこに保管されているのかまでを明示しておく必要があります。

 

具体的な保管場所について

令和6年4月より労働条件の明示に関するルールが変更されます。労働契約の明確化等に関する行政解釈にて周知の要件についての追加もありました。

具体的には『使用者は、就業規則を据え付けている場所等を労働者に示すこと等により就業規則を労働者が必要な時に用意に閲覧することができる状態にする』というものです。

厚生労働省のモデル労働条件通知書には『就業規則を確認できる場所や方法』と記載する欄が設けられています。

労働局が示す保管場所については

・社内イントラネットに掲載

・共有フォルダに格納する 等の方法があげられております。

他には誰もが閲覧できる場所、例えば据え付けてある本棚への保管であったり、就業規則のコピーを入社時に渡す、といった方法をとっている会社もあります。

 

まとめ

就業規則の周知義務についてお話させていただきました。

周知義務違反をしてしまうと罰金を支払うことになってしまいます。就業規則をただ会社の誰もが閲覧できる場所へ備付けておくだけで解決しますので、これを機に自分もしくは役職の従業員しか閲覧できないような環境におかれている就業規則の周知を徹底してみてはいかがでしょうか?

また労働基準法も毎年のように改正されておりますので、一度内容が現行の法律に沿っているものであるかどうかの確認も併せてしてみてはどうでしょうか。

 

社会保険労務士法人きんかでは就業規則の作成から助成金に合わせた内容改定についてのご相談も承っております。

今ある就業規則が今の時代にきちんと沿っているのか、就業規則を作ろうと思っているがどのような内容にすれば良いかわからない等のご相談はいつでもお気軽にお問合せください。専任のスタッフが事業内容や申請したい助成金に合うようにご提案させていただきます。

 

 

 

 

 

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